2006年08月21日

悲劇の男・高尾 Part3

藤本ジムに語り継がれる(?)伝説的な出来事

■突然試合!?

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控え室に行くと、そこへお世話になっているジムのコーチが現れて「お前も試合やれ」と言って来た。私は日本での試合後の2週間というもの、ブラブラしていただけで、エクササイズくらいの運動しかしていないし、道具もなければやる気もない。だから「試合はやらないよ!」と言って、最後の方に予定されていた高尾の試合を見ることにした。

田舎の試合では、最初と最後は子供同士の試合が多い。1試合目は10歳以下くらいの豆選手だった。2試合目に入り試合を観戦していると、さっきのコーチが若いタイ人とまたやって来た。「何? 高尾がどうかした……!?」するとコーチから衝撃的な一言が。

「こいつはお前の相手だ!」

なんと! ここ数十分のうちに既に試合が組まれていたのである。仕方なく私も高尾の居る控え室へ。コーチに「俺の試合道具どうするの?」と聞くと、高尾の借りるんだという。開き直り、まぁ良いかと椅子に座ると、コーチは高尾が履いていたトランクスを脱がし、私に履かせる。「あぁサイズチェック?」と思いきや、高尾のバンテージを取り上げ私に巻き始めるではないか。「もうお前の試合だから、早く」 「俺のほうが先なのか? えぇっー!?」とびっくりしている間に、油とワセリンでベタベタになったガウンを着せられ、モンコンを頭につけられ、すっかり戦闘体制に。屈伸を5〜6回したところで「出番です〜」と呼ばれ、いざリングサイドへ。

そこへ先ほど賭けをしたおじさんがすっ飛んできて「何だ、やっぱりお前も出るんじゃないか! お前の試合も賭けをしよう」と持ちかけてきた。しかし私はそれどころではない! まさにこれから試合なのだ! 「止めとくよ」と言い残しリングへ上る。相手は私よりも若くて小さい。が、弱くはなさそうだ。

ゴングが鳴り1R目が始まると、強烈な左右のミドルが脇腹に決まる。当然相手の蹴りが私に……だが。しかし私のジャブも面白いように入る。2R目はパンチで攻める戦法でローを散らすと、上下どちらも入るが、相手のミドルも飛んでくる。練習をしていない私はスタミナに問題があるので、早い回に勝負に出た。

3R目に入ると、相手はローが効いている。パンチも入り、一気にたたみ掛けて2度のダウンを奪い、KOへ!「あ〜ぁ。金賭けとけば良かった……」と思うも、後の祭り。そうだ、それどころではない。私のはあくまで余興だが、高尾の試合が本番なのだ。

■そしていよいよ高尾の試合!

試合が流れること4回。さぁ! 高尾念願の試合開始! 両者リングイン。高尾の相手は小さいと思っていたが背は高かった。座っていて小さかったのは座高が低く足が長い為だった。試合は中盤まで高尾ペースで進み、ボディストレートが効果的に決まっていた。

よーしボディで攻めよう、としつこくボディを攻めていた所、たまたま相手の左ミドルと高尾の右ボディーストレートが相打ちになり、高尾はダウンし悶絶! タイのレフリーはカウントを数える間も無くKO宣言。

試合を求めてタイまでやってきた高尾。4度の悲劇の末にようやく行われた試合。その結果は……。一方、付き添っていたはずが突然リングに上げられ、KO勝ちしてしまった私。

帰りに言った高尾の一言。

「こういうのを天国(鴇)と地獄(高尾)って言うんですね」

私は返す言葉がなかったのであった。

(終わり)

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posted by 管理人 at 02:37 | あの日・あの時(仮) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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