藤本ジムに語り継がれる(?)伝説的な出来事
■試合をさせてくれ!
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そんな高尾は怒り心頭!「もう日本はいい。タイでやる」とタイ修行兼試合にと海を渡ることを決意。数日間タイ修行をした後、早々に試合を組んでもらった。「やった、本場で試合が出来る!」気合が入る高尾。しかし数日後3回目の不幸が高尾を襲う。
「相手が怪我したから、試合無くなったよ」
軽ーく言うコーチ。ガガーン! どこまで不運は続くんだ……。しかし、そこはタイ。2〜3日でまた試合決定。今度は体重も何でもいいよと気楽な感じ。恐る恐る当日を迎えいざ会場へと車に乗り込む。ピックアップトラックの荷台に揺られること2時間強、よく解らない田舎に連れて来られた高尾。早速相手を探す。「い、居たぁー!」お化けがでたわけでもないのに思わす叫んでしまった高尾。
喜んだ高尾は直ぐにバンテージを巻きウォーミングアップ。自分の試合を待つ。そして試合が着々と迫ってくる……。
とその時だ。高尾の顔にセミのオシッコが! と思い気や雨が。リングはビショビショになり試合中止に。高尾の目にも大雨が……。野外の試合には新たな落とし穴が待っていたのだ。
そして次が5度目の正直。今日こそ試合が実現か? バンコクから車で2時間、タイで一番デカイチェディー(タイでよく見る金色の三角錐の尖がってるやつ)があるナコンパトム県にやってきた!
高尾よりも一足早くついた私は、会場近くで焼きそばを食べ、会場入り口に売っているスルメも食べながらビタミルクを飲んでいた。「いや〜試合後の自由な生活っていいなぁ!」とタイを満喫する私。
ちなみに私はこの時はすでに今の奥さんと交際中でラブラブ状態。当日朝も「こういう時に試合すると腰に力が入らないって言うんだろうな〜っ」と鼻の下を伸ばしながら想像していると、タイ人のおじさんがやって来た。
「オマエハ、キョウシアイスル、ニホンジカ?」
「俺じゃないよ、俺の後輩だよ」
するとおじさんは賭けをしようと切り出す。当然おじさんはタイの選手に、俺は高尾に2000バーツ(当時1万円くらい)賭けた。おじさんは「試合が終わったら、また来るから俺の顔忘れるなよ。」と言い残しスタジアムに入って行く。っていうか、高尾が勝っても絶対来いよっ!と思う私。そうこうしている間に高尾が到着し、早速二人で相手探し。トレーナーに聞くと「あいつだよっ」とスタジアムの一番上に座ってる選手を指差す。
「結構小さいな、問題ないよ。」と高尾を安心させ、準備のために控え室に行ったのだった。
(つづく)
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管理人的には「ラブラブ交際中」のあたり、鼻の下を伸ばしていったい何を想像していたのかもう少し深く掘り下げて取材して行きたいところですが、とりあえず本編はまだ続きます。