2006年04月26日

大野信一朗ロングインタビュー #3

インタビュー:日本フェザー級王者 大野信一朗編「あきらめなくてよかった。」

■練習について

−練習はどれくらいしていたんですか

練習は毎日してましたよ。でも今回は、時間的にはいつもよりは練習してないんですよね。周りにおまえの練習ダメだくらいのことを言われてたんで、練習の仕方変えたほうがいいかなと考えて。

【写真】肉体と精神の両方にストレスをためないように心がけていたという大野だから今回は追い込みみたいなものはやらなかったですね。もうね、体が動かないんですよ!1日必死にがんばっちゃうと、次の日練習できないんで(苦笑) 練習方法は自分で決めてました。ただ、決めておいたメニューが1から10までできないとものすごいストレスじゃないですか。体が疲れてストレスなのに、計画してた練習ができなかったっていうこともストレスになっちゃうんで、今回はあまり細かく決めないで、1から5までしかできなくても今日はいいや、という感じでしたね。次の日もできるように。精神的ストレスをためないように。そうするようになってから結構楽になりましたかね。体も。

−それがよかったのかもしれないですね。リラックスして。

はい。今日もできなかったという変なストレスがなかったです。自分に負けてしまったと落ち込んで練習するより、今日は疲れちゃったからこれでもういい。明日またがんばろう〜!みたいな感じ。ある1日は完璧にできても、次の日は10のうち2くらいしかできなかったりするんですよ。それだったら、5を常にしたほうがいい。できたらできたでいいなとは思ってたんですけど、できなかったらできないでいい。そんな風に考えるようになって、それで精神的にストレスがたまらなかったんで、その辺は楽でしたね。

−試合までのモチベーションはどうでしたか。

いろいろあってモチベーションはものすごく下がってましたね……。俺、キックを始めてちょうど10年目くらいなんですよ。だからまぁ、これで負けたら間違いなく辞めようと思ってたんで、もしかしたらこれが最後かな、っていう意識はありましたよ。何やるにも最後なんだな、って。減量するのも最後だし、練習して、ミットを持ってもらって、当たっていくのも最後だし、っていう風に考えながら。だってもう辞めてしまったらどう考えたってこんな減量やらないですから。だからね、そういう意味では、もう、なんつーのかな、思い出じゃないですけど……。

−最後のいい思い出としていろんなことを記憶してゆきたいと?

そうですね。もう最後なんだから。だから練習だってキツイからやりたくないけど、やらなくなるとたぶんまたあの頃な〜なんて後で思い出して後悔しそうでね。減量したときって、食べてるものがおいしいんですよ。毎日毎日。すごくお腹が空いて、いろんなもの食いてぇし、ビールのみてぇしなんてなってるけど、こういうのも全部最後になっちゃうんだな、なんて思いながらやってました。これが最後になるんだろうなと思って。とはいいつつ、もちろん勝てればいいなと思ってましたけど(笑)

−わりとしみじみ?

しみじみ。。んーーー? そうすね。ほんとにね、自分でもそんなに勝てると思ってないし、判定だったらたぶん勝てないだろうと。だから俺びっくりして、あんなに喜んでたんですよね。

■キックボクシングを始めたわけ

−キックボクシングを始めたきっかけを教えてください。

【写真】昔から格闘技を見るのが好きだったと語る大野あのね、変な体型になってきてからなんですよね。俺29歳まではあんまり太らない体質だったんですよね。なのに、なんにもしてなかったせいかものすごい変な……お腹だけ出てきたりするんですよ(笑)。すごく変な体型になってきて!

で、ちょうどその頃スポーツジムが流行ってたんですよね。ティップネスなんか出始めで、誰もがティップネス入ってる感じ。んで、俺、性格的にそういうとこ入ってもつづかねーんだろなーって思ったんですよ。独りで一生懸命やるなんてのはどうかなと。どうせなら好きな格闘技っぽいのやりたいなと思って。見るのはずっと好きだったんで。

本当はその頃目黒ジムも見に来てたんですよ。見に来たんですけど、当時はボクシングと一緒だったんで、外でロープ(なわとび)とか飛んでるんですよ! それ見て、こんなとこ俺には無理だと思って。年もわかってるじゃない。当時はプロになりたいとは思わなかったんですけど、やるからにはある程度は真剣にやりたいじゃないですか。面倒見て欲しいじゃないですか。外でロープ飛んでるようなところに、こんな29歳のおじさんが入ってきたって、どう考えたって相手にされないだろうと勝手に思ってました(苦笑) それでアクティブJに入りました。アクティブJは合同稽古っていうのがあるんです。みんなでやるんで、そういうのだったら続くかなと思って。

そういえば俺、まだキックやってない頃に、小野寺さん(元日本フェザー級王者。現在はRIKIX会長)のデビュー戦とか見てますからね。後楽園ホールに見に行ってました。1週間に1回くらい後楽園行ってた感じですよ。小野寺力って強くなるよなーなんて偉そうに言ってたんです(笑) デビュー戦みてて、「こいつよくなるよ〜♪」なんてのんきに。ほんとに……まさか自分がキック始めて、(移籍して)スパーリングやるなんて思ってなかったですからね!

■ファンに一言

−ファンのみなさんに一言お願いします。

ファンに一言? 俺のファンなんていますか?

−またそんなことを。ファンがいなかったらあれほど大きな声援飛びませんよ?

あの中の多くは、僕がお世話になってる(空手の)大道塾の人たちですね。大道塾のみなさんには大変お世話になっていて。大道塾っていろんな支部があるんですが、その中の一人の先生と仲良くさせていただいてるんです。先生って言っても俺と同い年くらいなんですけどね。で、その先生もムエタイやキック大好きなんですよ。そこの人たちとも結構飲みに行ったりとかしてるんで、そういう人たちがいっぱい来てくれてました。だから、マスクマンもそうですけど、前蹴りの次くらいにあの人たちも武器になってたと思います。ちょっと当たっただけでも、ワー!と大声援を送ってくれる。うれしかったですね。

−それ、十分ファンっていうんじゃないですか(笑)

(笑) 応援してくれたみなさんに感謝してます。これからも応援よろしくお願いします。

−長時間ありがとうございました。

【写真】リングインする前の大野を囲むマスクマンたち

リングインする前の大野を囲むマスクマンたち。
これからも大野を支え続けるのは「友情」と「声援」に違いない。

「30過ぎてから強い」といわれる藤本ジム。それを改めて証明してみせたのが大野信一朗である。あの試合で勇気を与えられた同世代の人も多いだろう。これからも唸らせる戦いぶりをぜひ見せ続けてほしい。

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posted by 管理人 at 03:25 | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする