2005年08月16日

ちょっと知っておきたい「ムエタイのジャッジ」

 8月22日、TITANS 2ndで日本ライト級王者・石井宏樹選手が、悲願のラジャ・ライト級王座に挑戦します。今回はレフェリーからジャッジまで全員がタイ人となり、代々木第二体育館に本場ムエタイのリングが再現されます。

 もともとムエタイをベースに考案されたキックボクシングですが、日本のキックボクシングと本場のムエタイではジャッジ基準が異なります。王座獲得のためにはタイ人レフェリーらを納得させる駆け引きや戦いぶりが要求されるわけです。リング内では治外法権とも言えるムエタイのジャッジ。ここではそんなムエタイのジャッジの特徴について簡単にご紹介しましょう。


 500年の歴史があると言われるタイの国技「ムエタイ」ですが、最近は本来の格闘技からは遠くなっています。なぜなら現在のムエタイは賭け中心の競技であり、相手を倒す事を目的とするのではなく、ポイントを獲って安全に試合を運ぶ事が重要視されているからなのです。

 つまり「ポイント」をいかに取るかで勝敗が決まるわけですが、日本で行われているキックボクシングとはジャッジ基準が異なるため、キックボクサーがムエタイに挑戦する場合は、戦い方もムエタイのジャッジに合わせる必要がでてくるわけです。


■ 選手によってポイントの取られ方が異なる

 選手によってジャッジの取られ方が全く違うのもムエタイの特徴です。例えば、非常にパンチ力の強い(重い)選手がパンチで攻撃をした際、軽く当たっただけで効かなくてもポイントになりますが、パンチ力の無い選手がタイミングにより、フラッシュダウン(倒れてもタイミングによる物でダメージはない)を取ったとしてもポイントとしてはカウントされず、ダウン扱いにはならないことがあります。つまり、ムエタイは選手に関する予備知識やデータがないと判定できないのです。


■ 手数より的中率が物をいう「アグレッシブ」

 採点基準の1つである「アグレッシブ」もキックボクシングとムエタイでは考え方が大きく異なります。

 試合中、物凄い手数で蹴りやパンチを放っても、当たらなければ相手の防御技術が上(力の無駄使い)とみなされ、「アグレッシブ」というポイントは付きません。

 例えば、赤の選手が100発打って5発当たるのと、青の選手が10発打って5発当たるのでは、キックボクシングの場合、ヒット数は同じでも手数の多い赤がアグレッシブという採点となり、ポイントの上では10対9の赤となりますが、ムエタイでは確率的に青は50%の的中率とみなされ、しかも防御技術が優れているという評価となり、9対10で青の優勢となります。


■ ムエタイ独自のルールが多数

 ムエタイでは「シンラパムエタイ」という言葉があります。直訳すると「ムエタイの芸術」。技の美しさも重視するムエタイでは、芸術的な、華麗な技術にはウルトラCランクのボーナス得点がつきます。また、攻撃のタイミングや、かわし方によっては1ポイント以上の評価がつく場合もあります。

 反対に攻撃の仕方によっては相手が有利になってしまうことさえあります。例えば赤の選手がジャブを5発入れたとします。その後ミドルキックに行った所、青の選手にスウェーでかわされ、逆に右ヒジを打たれたら、それまでの赤の選手の攻撃はなかったものとされ、下手をするとポイント面で青の選手が上回ってしまう可能性さえあるのです。

 また、ムエタイでは試合中の表情もジャッジの対象となる場合があります。ローキック等の低レベルの技(タイでは効かないローやパンチは余りポイントにならない)を受けて、顔を苦痛にゆがめる等がレフェリーに見られると、プロにあるまじき行為とみなされ、直ぐにレフェリーストップによってKOにされる場合もあるのです。

 このように、ジャッジでは日本、いや世界中でもない、タイのムエタイだけにしかないルールが多数存在するのです。
posted by 管理人 at 20:50 | 特別企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする